2016年5月15日日曜日

哀の空に 作成中

私は藤村 翔子(ふじむら しょうこ)。
25歳。
大学に入った頃に付き合った彼とたった今別れてきた。
原因は積もりに積もった性格の不一致だった。

彼は27歳。
就職していて生活も安定しているような職に就いていた。
そしてちょうど半年前に同棲した。
結婚前の練習ということで両親にもそれとなく伝えていた。

「同棲したら合わないってこともあるから覚悟しときなよ。」

なんて半笑いで言ってた親を当時は殴り飛ばしてやりたかったけど今では本当にそうだったなんて思ってる。
彼は家事に対して全くの無頓着。
食器は洗わないし洗濯もほとんどしてない。
食器は汚れが目立つまで何回も使いまわしてるらしい。
洗濯は下着は一日使ったら洗濯はするが、冬は2,3日に一回。
夏場は上着なんかも汗でベチャベチャになってたとしてもファブリーズして乾かせば着れるとか言って洗濯をしなかった。
私はそんな彼を付き合っていた時に見抜けなかったことに対しても悔しいと思っていたが家に入り自分のテリトリーに入った途端にそのテリトリー以外での彼の行動は全部見栄なんだって思った。
その普段との違いが許せなくて私は彼との交際を辞めた。
最初は

「洗濯しないの?食器洗わないの?」
「後でやるからいいよ。」

くらいだったのに

「洗濯しないの?食器洗わないの?」
「お前は俺の母親じゃないんだからそこまで毎日言わないでくれ。疲れる。」

って言われるようになった。
彼の言い分もわかるが私はそんなことはしたくなかった。
誰かに見られるのが嫌というわけじゃなくそういったことをしていて万が一それが原因で病気になったら嫌だと思っていたからだ。
もともと私はお腹が弱かったし肌も弱い方だったから。

そんなことが続いてとても大きな喧嘩になった。
私は彼の部屋においていたものを全部引き払い親のもとへと送ったし鍵もおいて帰ってきた。
彼からは何の連絡もない。
お互いもう疲れ切ってたんだと思う。
私の友達には彼のように洗濯や食器洗いを放置しておいても気にしない人がいたからそういった人もいることはわかってた。
でもいざ自分の彼がそういった人だとわかるとどうしても納得が行かなかった。
それでも彼の部屋はびっくりするほど綺麗だった。
掃除する程の物が無いっていうのもあるし3ヶ月くらいに一度簡単な掃除はしているみたいだったし。
もともと彼はまだ同棲に向いてない人だったんだと思って綺麗さっぱり諦めて私は忘れることにした。


-----------------------------

俺の名前は野村 正人(のむら まさと)。
ついさっき彼女が家から出ていった。

俺の心構えとしては

“俺の生活には俺のやり方がある。”

っていう物。
彼女とそれについて分かり合えなかったということだ。
彼女は

「いくら問題ないからって言ってもそこまでだらしないことはしないほうがいいと思うよ。」

と言っていた。
お前は俺の母親かよ。
って思ったことも何度もあったし言ったこともあった。
彼女が家の荷物を運び出し家には手紙と鍵しかなかったときはやっと五月蝿い奴がいなくなったって気持ちが先行して拭えなかった。
そのあとに一人での生活がとっても寂しく感じた。
でも帰ってきてくれなんて女々しいことは言えず連絡は取っていない。
なんと送っていいのかもわからないし友人に話せるほど自分の中で処理できていないから。
結婚目前で同棲していたにも関わらず分かり合えずに別れるなんてことがいざ自分の目の前に突き出されたとき嘘だろと思ったがすぐに清々したという気持ちも舞い上がってきたから気持ちはすれ違ってきてたんだろうな。
少しさみしいけど五月蝿いだけの奴だったからいなくなって良かった。
今日は飲みにでも行こうかな。

-----------------------------


翔子side


あれから私は実家での生活をしている。
母にはいろいろ言われるがお父さんは帰ってきてくれて嬉しいようで色々と話をしたりしている。
失恋が原因で少し落ち込んでるから2,3ヶ月面倒見てくださいって言って帰ってきた。
やっぱり実家は落ち着く。
私は多分彼とはもううまくいかない。
連絡が来ても別れるというと思う。
それが一番だと思う。
もう1ヶ月くらい立つんだけどやっぱり楽しかった思い出が強くてどんなに嫌いになっても楽しかった思い出が今の私の心を優しくしてしまって辛くなる。
それでも彼からされたことは変わらないしこれからも必ずネックになってくる。
徐々に消化ができてきてる気がしてる。
最近母と一緒に買い物にいってるお店で会う男の人が素敵だなって思い始めてる。
マサトには悪いけど別れて良かったって思ってる。
素敵な出会いの予感にざわついてるけど、本当に素敵な出会いになればいいな。

-----------------------------


正人side


正直別れなきゃ良かったと思ってる。
あれから半年。
気持ちの整理もできて1週間経った頃に

「いろいろごめん。別れよう。」

とメールした。
その日はどこか上の空で夜まで眠れなかったのを覚えている。
それから3週間、別れて1ヶ月立った時に初めて友人に話せた。
そしたら

「お前そんな生活してたのか?ひとりの時はいいかもしれないがこれから誰かと付き合ったり結婚したりしたいならそんな生活改めないと理解してくれる人なんて皆無だぞ。」

と言われた。
一人じゃなく何人にも。
だから少しずつ料理もしてるし洗濯なんかも貯めてからにはなるが洗っている。
正直別れてから彼女を愛おしく思うなんて思ってもみなかった。
あの時は母親みたいなこと毎日毎日言わないでくれって思ってたけど、今ではそんなこと言われてでもいいから俺の元に戻ってきてほしい。
そう思っている。
別れて2ヶ月くらいまではもう遅いって思ってたけど今ではそんな生活も当たり前になってきていて手馴れたものになってる。
そろそろショウコに連絡してみようと思ってる。


-----------------------------


翔子side


正直びっくりした。
別れた時に何の連絡もしてこなかったから私には未練なんてないと思っていた。

「あれからショウコに言われていたことを直してみたんだ。もし今付き合ってる人がいないならもう一度友達としてからやり直してみないか?」

私はあれから素敵な出会いを予感した人と付き合った。
でもどんな時もマサトならこうだった。
って想いが蘇ってきてしまって一緒にいるのが疲れてしまった。
彼のいい部分を探して見つけ出して悪い部分も含めて愛することができなかった。
だから1ヶ月ほどっだったが付き合ってから別れた。

「私も同じく彼を忘れられないんだ」

そう思って彼に連絡をしてみようと思い立った。
友達からなら気軽に合うこともできると思うし。
徐々に分かり合うチャンスもあるよね?


-----------------------------


正人side


彼女が来てくれることになった。
最初は友人として食事からすることになった。
ぎこちないかも知れないし気まずいかも知れない。
でも最初はそうでも最後に何かしらの結果を残せたらいいものだと思う。
そう思って今日は会ってみよう。


-----------------------------


「お久しぶり!マサト元気だった?食事とか気にしてるとか言ってたしなんか雰囲気変わったね。とっても素敵になった。これからどうなるかわからないけどまた友達からだけどよろしくお願いします。」

「あ。ああ。よろしく。ショウコこそなんだか雰囲気変わったな。明るくなった感じがする。これからもよろしくな。」

外は少しだけ寒くなってきている。
10月の空はこんなにも寒い空だっただろうか。

「今日はね、少し行ってみたいと思ってたところがあるの。だからちょっと付き合って。」

そんなショウコの言葉につられマサトは隣を歩く。
随分久しぶりな感覚。
ショウコのよかった部分も少し変わってしまってて残念だけどそれはそれでお互い様なのかななんて思ったりもした。

「このレストラン。入ってみたかったの。」

0 件のコメント:

コメントを投稿